朝と食パン

生活がある

こんこん小山の子兎は

今日さー、めっちゃいい気候だったんだわー。春めいた感じ?

ほんでね、病院行ったんだ。午後3時くらいに、びょういん。アトピーみたいなのがしつこくてね。
でね、地元で皮膚科があるのが、ちょっと田舎道入ったとこなんすよ。

この気だるさを感じる暖かさのなか、自転車でもって田舎道を走るとね、気分が良い。とても良い。気だるさ方向で気分が良い。小・中学生が下校してたり、道で遊んでたり、牧歌的。

小学生ってすごくウロチョロする。ちょっと横道を覗いたり、地面に座ってみたり、見てて楽しい。なんだあの生き物は。

男子中学生は、円になってサッカーボールを蹴りあってる。いいね。「それ、ほとんど蹴鞠だよ」って言ってあげたかった。でも、出来れば蹴鞠だということを知らずに生きていてほしい。だから何も言わなかった。


そんな風景の一部に自分が居るとね。


「ああ、死ぬなら春に死にてぇ」

って思っちゃうもんだ。そういうものだよね。なんの脈絡もなく、閃いちゃう。春に死にたいなって。

まいったね、いつの間にか、声に出しちゃったもんね。ボソッとね。「春に死にてぇ」って。自転車ゆっくり漕ぎながらね。

言って、ハッとして

「お前は西行か!」

って、つい大声で突っ込んじゃったね。ハッとすると声を出す癖があるからね、私には。直前のボソッに対して、相当大きい声が出たよ。その高低差たるや、野茂のフォークボール。分かりやすく笑点で言ったら、「それじゃあダメじゃん春風亭昇太です!」くらいには出ましたよ。

ちょうど黄色い帽子の小さいランドセルが横を通ってるときだった。私はニコと微笑んだ。ランドセルは何を察したのか、既に遠くへ走り出してた。

西行がトラウマにならなければいいな。

いやいや、もしかした今日の警察へは「西行!」と叫ぶ不審者が報告されてるかもしれない。

あの田舎道あたりは気をつけましょう。と朝の会で先生が注意するかもしれない。

国語好きが調子に乗って西行を解説するかもしれない。

大丈夫です。私は滅多にあの辺りにいきません。安心ください。

あ、

来週も来いってお医者さんに言われたな、そういえば。

前言撤回。

来週も不審者が表れるかもしれない


今度は今日みたいな牧歌的な気候じゃなければいいね、西行法師さんっ。